本日からシリーズでお届けする「香りのサービス注意点」シリーズ。
1回目の今日はホテル業界における香りのサービスについてです。
ホテルを利用する理由は様々で、家族や友人・一人旅行での利用や、ビジネスでの出張や会食・セミナー開催での利用、最近ではリフレッシュするために利用したり、新型コロナウイルスが流行してからは、隔離や予防の為の利用なども始まりました。
様々な利用方法がある中、ホテルにおける「香りにまつわるクレーム」事例を元に、ホテルでの香のサービスについて考えてみたいと思います。
ホテルにおける香りのクレーム
ホテルにおける香りのクレーム事例① タバコのにおい
このクレームは主に禁煙室を予約した方から出てくるクレームです。
お子さま連れや、タバコが嫌いである為「わざわざ」禁煙室を予約するケースがほとんどである為、「わざわざ」禁煙室を選んだ方が部屋に入りタバコのにおいがすると、より残念な気持ちになりクレームにつながるようです。
禁煙室であることを意識せずに喫煙されたお客様がいると、そのにおいが残ってしまったり、室内でタバコを吸ったわけではなくても、ヘビースモーカーの方が長時間過ごした結果においが移ってしまう可能性が考えられます。
ホテルにおける香りのクレーム事例② お香やアロマのにおい
以前は海外からのお客様で、お香を焚く習慣をお持ちの方がお部屋でお香を焚いてしまい、その後その部屋に宿泊した方からクレームが入るケースがあったようです。体臭予防で使っている場合もあるので難しいところはありますが、独特の香りが多いため、後に入られるお客様への配慮が必要です。
現在は、日本人のお客様であってもアロマオイルなどを持ち込んでディフューズする場合があり、香りが残ってしまうことがあるようで、後に入った方にとって苦手な香りの場合、クレームに繋がる可能性があります。
最近は特にホテル側が積極的に香りのサービスを導入している事例も増えており、その香りが苦手だと思ったお客様は、クレームを入れることなく利用をやめてしまうことも考えられます。
無臭を好まれている方にとっては迷惑なサービスとなってしまうこともあり、その場合、良かれと思って導入したサービスがお客様を遠ざける原因となることも十分ありえます。
また、後程あげますが従業員の方が苦手な香りであっても長時間その香りに耐え続けなければならず、
心身に悪影響がでることもあります。
全てのお客様や従業員の方に好まれる香りというのは案外難しく、割と万人受けすると言われている柑橘系の香りであっても苦手な人は苦手であり、アレルギーの問題をお持ちの方もいらっしゃるので、あまり安易にディフューズすることはお勧めできません。
ホテルにおける香りのクレーム事例③ カビ臭
日本は梅雨がある国です。
湿度が高い時は特にカビの臭いがすることもあります。
空調から、部屋の中から、たまに浴室のシャワーカーテンからカビ臭がするホテルもあります。
せっかくの外泊の機会にそのようにカビ臭さが漂ってきたら、クレームの原因になります。
上記のいずれも、換気や空気清浄等での対策が必要になってきますが、今回は特に「アロマ」の香りについて考えましょう。
ホテルにおける香りのサービスと注意点
ホテルにおける香りのサービス
ホテルのアロマというと、最初はホテルのスパなどで受けるアロマトリートメントを思い浮かべる人が多かったのではないでしょうか。
ホテルのロビーや客室の中での香りでアロマの香りがしていたという印象はあまりなく、客室では洗い立てのシーツの香りがしていたように記憶しています。
今でもアロマを導入していないホテルは多くあります。
一方、高級ホテルなどでロビーからアロマの香りが漂うところもあり、インターネットなどで「〇〇ホテルの香りのディフューザー」といった商品が販売されています。
ホテルはそれぞれのホテルのイメージに合わせた香りを研究し、ロビー・フロア・エントランス・客室などにくつろぎの空間や上質感などを演出しているとのこと。
合成香料ではなく、天然精油で表現された香りがウリのところもあるようです。
ホテルにおける香りのサービスで注意すべき点
ただ、先程もあげましたが、香りには好き嫌いが存在します。香りのサービスの導入で「良い香り」「高級感を味わえる」と思える方には特に問題はありません。
しかし、ホテルに求めていることが香りのサービスではなく、「スタッフのサービスの質」や「その場の居心地の良さや高級感(香りではなく)」であり、そのホテルが導入した香りが苦手な香りだった場合、「香り」が原因でホテル離れに繋がることもありえます。
香りは良い印象を与える反面、苦手な香りの場合は離れる原因となり、諸刃の剣です。
「良い香り」「高級感がある」といった良い反応はわりとわかりやすいのですが、離れていく人は何も言わずに離れることも多いのです。
「むせかえるような香り」という表現もあるように、強い香りで不快感を示す方がいることも考慮する必要があります。
料理を例えて考えればわかりやすいかと思います。
今は、高級レストランや割烹だけでなく、街中のレストランやフランチャイズのお店などでも、アレルギーや苦手なものは排除できるようになっています。
それに対し、香りは決まったものが漂い、個人の好みが反映されるわけではありません。
ではそのホテルには行かなければいいではないか、と思うでしょうか。
真の顧客満足を考えるなら、それはあってはいけないこと。
「クレーム」が来なければ、皆が納得しているわけではありません。
また、香りは本能に働きかけ、体内にまで入っていきます。
特に天然精油で作った香りは、精油の分子の大きさにより体内にまで入る為、人体への影響も注意が必要です。
アロマテラピーを学んだことがない方はこのことを知るととても驚かれるのですが、「メディカルアロマ」という言葉が出てきているように精油は人体への影響があります。
良かれと思って導入されているサービスであり、喜んでいる人がいる一方、その香りによって、知られずに離れている顧客がいるかもしれないことは、留意いただきたい点です。